オペラ「大正時代のボエーム」(ラ・ボエーム)

TOKYO MXテレビ 2004年10月16日放送 あらすじ

 

19世紀パリの若者たちの青春を描いた「ラ・ボエーム」を、日本の大正時代として上演

深見東州・活動の歴史DVD テレビ放送シリーズ19 たちばな出版
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NPO法人世界芸術文化振興協会(IFAC)主催のオペラシリーズ第三弾。
 

 

「聖徳太子」「元禄のトラヴィアータ」に続いて、今回は、プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を、音楽は原曲のまま、物語の時代背景を日本の大正時代に置き換えての上演。

 
日露戦争から満州事変までの、大正を中心にした四半世紀は、それまで10年に一度の割合で戦争をしていた日本が、珍しく平和だった、いわば日本の青春時代です。


民主主義が唱えられ、大衆文化、大正ロマンティシズムが謳歌された時代を背景に、物語は大正10年頃、クリスマスイブを迎えた4人の若い芸術家達の下宿から始まります。

番組では、オペラのシーンを紹介しながら、このオペラに関わった出演者、スタッフなどに、役柄にかける気持ちや和服で演じる難しさ、面白さを聞く。また、世界的に人気が高いオペラボエームを、日本風に読み替え、新しい芸術の創造を目指した、主催者であるIFAC深見東州会長や関係者の意気込みも紹介していきます。

第1幕 大正10年頃の谷中付近の下宿屋。 クリスマス・イブの午後。

【あらすじ】

  自らを「四銃士」と名乗る、詩人のロドルフォ(樓鳥鳳)、画家のマルチェッロ(麿千絵浪)、音楽家のショナール(潮鳴)、哲学者のコッリーネ(個理念)、四人の若き芸術家たちは、生活は貧しくとも、夢と理想を追い求める情熱に燃えていました。

 マルチェッロは恋人ムゼッタ(夢是多)といつもの喧嘩別れ。仕事も手につきません。寒さに耐えかねたロドルフォは、自作の戯曲を大げさな芝居と共に燃やして束の間の暖をとります。

 コッリーネは古本屋で本を買い取ってもらえず浮かぬ様子。ショナール一人が食糧や酒などを土産に買ってきます。そこへ家主のベノア(部納破)が滞納している三ヶ月分の家賃の取り立てに来ます。四人はあの手この手でベノアをおだてあげ、浮気話になったところで彼に家賃を払うことなく追い出してしまいます。これもまた青春の一コマ。彼らはクリスマス・イヴの街へと繰り出して行きます。

 仕事のために一人残ったロドルフォのところへ、若い娘のミミ(美実)が訪ねて来ます。手燭に火をもらい帰ろうとしますが、部屋の鍵を落としたことに気付き戻って来ます。暗い部屋で鍵を捜すミミとロドルフォ。彼はミミの手に触れます。その手は透き通るほど白く、驚くほど冷たかったのです。ロドルフォはミミのその手に、彼が追い求めていた詩情を見出します。ミミもまた、ロドルフォに彼女の求めていた花の香りと色を見つけます。二人の出会いは恋を生み、一気に愛へと燃え上がっていったのです。

 

第2幕 クリスマス・イブで賑わう浅草六区界隈。

【あらすじ】

 街は物売りたちの威勢のよい声が響き渡り、若者や親子連れで大賑わいです。ショナールやコッリーネもお目当ての物を買います。別れたムゼッタのことが気になるマルチェッロは、若い娘をからかってみますが、一向に気が晴れません。ロドルフォはミミに髪飾りをプレゼントします。彼はカフェで合流した仲間にミミを紹介し、紙芝居屋のパルピニョール(春日如売)に子供たちが大はしゃぎする中、楽しいひと時を過ごします。

 そこへ派手な身なりのムゼッタがパトロンのアルチンドロ(有珍泥)を伴って現れます。マルチェッロの心は穏やかではありません。ムゼッタもまた、彼女を無視するマルチェッロに気をもみ挑発してみせます。アルチンドロはムゼッタの本心がマルチェッロにあることに気付かず、周りの目ばかり気にしています。  ついに、ムゼッタは大芝居に出ます。アルチンドロを追い払うために新しい靴を買いに行かせ、その間にマルチェッロとのよりを戻してしまいます。

  そこへ救世軍のブラスバンドが通りかかり、皆は元のさやに戻ったムゼッタとマルチェッロの愛を讃えます。アルチンドロが新しい靴を手に戻ってきた時には、カフェはもぬけの殻。かわいそうにアルチンドロの手に残ったものは、彼らの飲食代の請求書だけでした。しかしこれもまた、愛に揺れる青春のありのままの姿。 

 

お勘定はパトロンのアルチンドロに払わせることをムゼッタが決め、 元のさやに戻ったムゼッタとマルチェッロの愛を、皆が讃える
お勘定はパトロンのアルチンドロに払わせることをムゼッタが決め、 元のさやに戻ったムゼッタとマルチェッロの愛を、皆が讃える

第3幕 上野不忍池の近く。 雪のちらつく2月。

ミミはロドルフォとの関係がうまく行っていないことを、 マルチェッロにうち明けるのでした。
ミミはロドルフォとの関係がうまく行っていないことを、 マルチェッロにうち明けるのでした。

 ミミとロドルフォが出会ったクリスマス・イヴから二ヶ月の月日が流れていました。あの日再びよりを戻したムゼッタとマルチェッロは、カフェに住み込みで働いています。

 ある日の明け方、疲れた様子のロドルフォが訪ねて来ます。ミミもまた彼の後を追ってやって来ます。そこでミミが耳にした真実は、自分の死の近い病と、その彼女を助けることのできないロドルフォの苦悩でした。自らの運命を悟ったミミは、恋人との幸せであった思い出を胸に、別れを決意します。彼女は、クリスマス・イヴの日にロドルフォからプレゼントされた髪飾りを、二人の思い出として持っていてほしいと、切なる願いを告げます。

  一方、ムゼッタとマルチェッロの間では、みたび大喧嘩が始まります。彼女の浮気を疑うマルチェッロと、そんな彼の態度に嫌気がさすムゼッタ。二人はあらん限りの罵りあいをし、ついには別れてしまいます。

 雪のちらつき始めた中、ミミとロドルフォは、大喧嘩をする二人とは対照的に、あたかも愛を語り合うかのように、太陽と花の香りが祝福を与えてくれる春に別れを告げることを約束します。しかし二人は思っていました。永遠に冬が続いてほしいと。

 

第4幕谷中付近の下宿屋。 初夏の午後。

【あらすじ】 

再び若き芸術家、四人の自由気ままな生活が始まります。違いと言えば、その生活からミミとムゼッタが消えたこと。

 しかし、ロドルフォはミミの面影を追い、マルチェッロはムゼッタを忘れることができません。二人は仕事が手につかない日々を過ごしています。そんな気分を紛らわすかのように、ショナールとコッリーネを交え四人は踊りや決闘のまねごとをして、大騒ぎをします。

 そこへ突然、ムゼッタが病気で苦しむミミを連れて来ます。ミミは死を悟り、人生最期の場所に愛するロドルフォの胸を選んだのです。仲間たちはミミの思いを察し、各々用事を見つけ部屋をあとにします。

 思い出の部屋で二人きりになったミミとロドルフォ。初めて出会った日のことを回想します。ロドルフォが鍵を見つけていたこと。ミミがそのことを知っていたこと。手を握りあい、自らを語り合ったことがいかに幸せであったことか。ミミの激しい咳にショナールがあわてて戻って来ます。

 静かな時が、永遠に続くかのように流れてゆきます。ムゼッタが手渡したマフをロドルフォからの贈り物と思い込み喜ぶミミ。しかし、そのマフが無情にも透き通った白い手から落ちます。詩と花の香りを愛したミミの姿が、夕陽に照らし出されます。ロドルフォの胸にしっかり抱きしめられたミミの安らかな姿は、ロドルフォが創り出した「詩」そのものでした。 

 


公演後、満面の笑みで、公演の大成功を讃える グレコリー・ユーリシッチ氏。

スタッフ

指揮

河地 良智

演出

大島 尚志

総合プロデューサー

深見 東州

音楽監督

栗林 義信

合唱指揮

珠川 秀夫

副指揮

藤本 潤

高野 秀峰

小屋敷 真

美術

星 健典

照明

奥畑 康夫

衣装

清野 佳苗

音響

仙頭 聡

舞台監督

小桜 邦彦

演出助手

手塚 優子

 

キャスト(戸渡阿見オペラ団)

ミミ(美実)

羽山 弘子

ムゼッタ(夢是多)

小林 菜美

ロドルフォ(樓鳥鳳)

大間知 覚

マルチェッロ(麿千絵浪)

深見 東州

ショナール(潮鳴)

栗林 義信

コッリーネ(個理念)

峰 茂樹

アルチンドロ(有珍泥)

筒井 修平

ベノア(部納破)

馬場 眞二

パルピニョール(春日如売)

清水 一皓

警官

大野 隆

小野 弘晴

管弦楽

東京ニューフィルハーモニック管弦楽団

合唱

大正時代のボエーム合唱団

児童合唱

多摩ファミリーシンガーズ

 

毎日新聞 掲載記事

オペラ「大正時代のボエーム」--来月2日、品川・簡易保険ホール /東京

2004.08.25 地方版/東京 27頁

 プッチーニの名曲「ラ・ボエーム」が描く1830年代のパリの青春群像を日本の大正時代に置き換えたオペラ「大正時代のボエーム」(NPO法人・世界芸術文化振興協会主催、毎日新聞社後援)が9月2日午後6時半、品川区西五反田8、ゆうぽうと簡易保険ホールで上演される。

 「ラ・ボエーム」は若き芸術家たちの「夢と現実」「愛と別れ」を描いている。大正ロマンティシズムなど自由な文化が花開いた大正時代に舞台を移し「青春」をキーワードに日本人の心模様を表現したオペラ。

 全4幕。演奏は河地良智指揮、東京ニューフィルハーモニック管弦楽団。演出は大島尚志、総合プロデューサーは 、音楽監督は栗林義信の各氏。